DENTAL FLOSSデンタルフロス

歯みがきの「最後の40%」を磨く習慣

デンタルフロス

欧米では当たり前、日本ではまだ少数派

欧米では、約60%の人がデンタルフロスを日常的に使用しています。
一方、日本での使用率は 20%以下 にとどまっています。
この差は、そのまま、歯周病・虫歯・口臭の発生率の差として表れています。

歯ブラシだけでは「60%」しか磨けない

実は、どれだけ丁寧に歯ブラシで磨いても、歯の汚れの約60%程度しか落とせないと言われています。
残りの40%は、歯と歯の間(歯間部)に残ります。

歯と歯の間こそ、トラブルの温床

歯と歯の間は、
• 歯周病
• 虫歯
• 口臭
の主な原因となる場所です。
そして、この部分をきれいにできるのは、歯ブラシではなく、デンタルフロスだけです。

日本人のオーラルケアが遅れている理由

日本では、
• フロスを使う習慣がない
• 使い方が分からない
• 「面倒」「難しそう」というイメージ

これらが重なり、フロスが広く普及してきませんでした。
しかし、歯ブラシだけのケアでは不十分であることは、世界共通の認識になりつつあります。

Floss or Die

フロスは「命を守る習慣」と考えられています。
アメリカには、“Floss or die.”(フロスか、さもなくば死か)という有名な言葉があります。
これは脅しではなく、歯周病菌が全身の健康に深く関係している、という医学的事実を背景にした表現です。

近年の研究では、歯周病菌が次のような疾患と関係することが分かってきています。
• 認知症
• 誤嚥性肺炎
• 糖尿病
• 心筋梗塞

お口は、体の入口。
歯と歯の間を清潔に保つことは、全身の健康を守ることにもつながります。

まずは「1日1回」でいい

完璧を目指す必要はありません。
• 夜、1日1回
• 歯みがきの後に
• 数分だけ

それだけで、お口の環境は大きく変わります。

子どもの頃からの習慣が、一生を変える

フロス習慣は、大人になってからより、子どもの頃から身につけることが大切です。
• 正しい歯並びの成長
• 虫歯・歯周病の予防
• 将来の医療費の軽減

これは、子どもの健康を守るための「親の役目」でもあります。

デンタルフロスにも、種類があります

フロスにはさまざまな種類があり、歯並びやライフスタイルに合った選び方が重要です。
• ホルダータイプ
• 糸巻きタイプ
• ワックス付き/ノンワックス
• 太さ・素材の違い

👉 自分に合わないフロスは、続きません。

正しい使い方を知ることが第一歩

フロスは、「ただ通せばいい」ものではありません。

歯みがきミュージアムでは、
• 正しいフロスの使い方
• 初心者でも続けやすい方法
• 子どもへの使わせ方

を、展示・動画・デジタル体験を通じて紹介しています。

フロスは、特別な人のためのものではありません

今日から、誰でも始められる小さな習慣です。
歯みがきミュージアムは、「歯ブラシの次の一歩」を、分かりやすく、やさしく伝えていきます。

フロスの種類

フロスは「1種類」ではありません

デンタルフロスには、歯並び・年齢・使い慣れ度によって、選ぶべき種類があります。
合わないフロスは続きません。続かないフロスは、使っていないのと同じです。

① ホルダータイプ(初心者・子ども向け)
特徴こんな人におすすめ
• 持ち手がついている
• 操作が簡単
• 迷わず歯間に入れられる
• フロス初心者
• 子ども
• 手先が不器用な方
• 毎日「簡単に」続けたい方

② 糸巻きタイプ(慣れてきた方向け)
特徴こんな人におすすめ
• 糸の長さを自由に調整できる
• 歯並びに合わせやすい
• 歯科医師・歯科衛生士が推奨
• フロスに慣れてきた方
• 歯並びが複雑な方
• しっかりケアしたい方

👉 慣れると一番きれいに磨けます

③ ワックス付きフロス
特徴こんな人におすすめ
• 表面が滑らか
• 歯と歯の間に入りやすい
• 引っかかりにくい
• 歯間が狭い
• 初めて糸巻きフロスを使う方
• 痛みが出やすい方

👉 日本人に最も向いているタイプ

④ ノンワックスフロス
特徴こんな人におすすめ
• 繊維が広がりやすい
• プラーク除去力が高い
• フロスに慣れている
• 歯間が比較的広い
• しっかり汚れを落としたい方

👉 上級者向け

⑤ フロスの太さ・素材も重要

フロスには、
• 細い/太い
• ナイロン
• ポリエステル
• エコ素材

などの違いがあります。
「歯間にスッと入る」ことが最優先。無理に押し込むフロスはNGです。

フロス選びで一番大切なこと

✔ 高価である必要はありません
✔ 特別な機能も必須ではありません

大切なのは「続けられるかどうか」
• 入りやすい
• 痛くない
• 面倒に感じない

👉 これが正解です。

子どもには「専用フロス」を

子どもには必ず、
• ホルダータイプ
• 子ども専用サイズ
を使いましょう。

これは、虫歯予防だけでなく、習慣づくりのためです。
フロス習慣は、親が用意し、親が教えるものです。

迷ったら、まずこの順番

1.ホルダータイプ
2.ワックス付き糸巻き
3.自分に合った太さ・素材

歯みがきミュージアムでは、実際に触って・比べて・体験できます。

フロスは「特別なケア」ではありません

歯みがきの一部です。
歯みがきミュージアムは、あなたに合った「続くフロス」を見つける場所です。



フロスの使い方ステップ

フロスの使い方ステップ

フロスは「強く」ではなく「正しく」

デンタルフロスは、力を入れるものではありません。
ポイントは
👉 歯に沿わせること
👉 歯ぐきを傷つけないこと

STEP 1|フロスを準備する

糸巻きタイプの場合
• フロスを 40cm程度 切る
• 両手の中指に2〜3回巻く
• 人差し指と親指で1〜2cmの長さを保つ

ホルダータイプの場合
• そのまま使用OK
• 無理に奥まで入れようとしない

STEP 2|歯と歯の間に「そっと入れる」

• フロスをノコギリのように左右に動かしながら入れる
• 勢いよく押し込まない

❌ 上から一気に押す
⭕ ゆっくり、コントロール

STEP 3|歯に沿わせて「Cの字」に

フロスを歯の側面に沿わせてCの字に曲げるのが最大のポイント。
• 片側の歯に沿わせる
• 歯ぐきの少し下まで入れる
• 上下に2〜3回やさしく動かす

👉 歯と歯の間ではなく「歯の側面」を磨くイメージ

STEP 4|反対側の歯も同じように

同じ歯間でも、
• 右の歯
• 左の歯

両方を必ず磨く
ここを省くと汚れは半分しか取れません。

STEP 5|歯間ごとにフロスをずらす

• 汚れた部分は使い回さない
• 糸巻きタイプは少しずつ巻き替える
• ホルダータイプは流水で洗いながら使用

STEP 6|すべての歯間を1回でOK

• 1日1回で十分
• 夜、歯みがきの後がおすすめ
• 完璧を目指さない
👉 「続けること」が一番大切

よくある間違い

❌ 出血したらやめる
⭕ 最初は出血することもある(多くは数日で改善)

❌ 毎食後やらないと意味がない
⭕ 1日1回で十分

❌ 子どもは必要ない
⭕ 子どもこそ必要

子どもへの使い方(親向け)

• 小学生までは 親が仕上げフロス
• ホルダータイプを使用
• 「歯みがきのあとに1分」だけ

👉 習慣は 教えるものではなく、見せるもの

フロスは「特別なケア」ではありません

歯ブラシで 60%
フロスで 残り40%
この40%が、歯周病・虫歯・口臭を防ぎます。

まずは今日、1本だけ

完璧でなくていい。今日1回やることが、将来を変えます。
歯みがきミュージアムは、正しいオーラルケアを、誰にでも分かりやすく伝えていきます。



「フロス習慣」という宝を子どもに

フロス習慣

なぜ、子どもにフロスが必要なのか

子どもの歯は、
• 歯と歯の間が狭い
• 汚れが残りやすい
• 虫歯の進行が早い

という特徴があります。
歯ブラシだけでは、歯間の汚れは落とせません。
虫歯の多くは、歯と歯の間から始まります。

ポイントは「やらせる」ではなく「やってあげる」

小学生までは「親の仕上げフロス」が基本
• 子どもに任せない
• 親が最後に1分だけ行う
• 歯みがきの延長として自然に

👉 歯みがきと同じで、フロスも仕上げが大切

コツ① 最初は必ず「ホルダータイプ」

なぜホルダータイプが良い?
• 操作が簡単
• 手が小さくても安全
• 痛みが出にくい

👉 糸巻きタイプは慣れてから

コツ② 毎日やらなくていい

最初から完璧を目指さないこと。
• 週2〜3回でもOK
• 慣れたら1日1回へ
• 夜だけで十分

👉 「続く頻度」が正解

コツ③ 痛くしない・怖がらせない

• 勢いよく入れない
• 無理に奥まで入れない
• 出血しても慌てない

最初は歯ぐきが弱く、少し血が出ることもあります。
多くは数日で落ち着きます。

コツ④ 言葉は「説明」より「安心」

❌「やらないと虫歯になるよ」
⭕「きれいにしようね」
⭕「スッキリするよ」

👉 フロスは罰ではなく、ケア

コツ⑤ 親がやっている姿を見せる

子どもは、言われたことより、見たことを真似します。
• 親がフロスを使う
• 一緒に洗面所に立つ
• 「今日はここがきれいになったね」と声かけ

👉 一緒にやる=習慣になる

年齢別の目安

3〜5歳 • 親が完全に行う
• ホルダータイプ
• 週2〜3回から
小学生 • 親が仕上げ
• 毎日 or 夜だけ
• 少しずつ本人にも体験させる
中学生以降 • 本人中心
• 親は声かけと確認

「親の役目」は、一生の健康を渡すこと

フロス習慣は、
• 虫歯予防
• 歯周病予防
• 口臭予防
• 将来の医療費削減

につながります。
これは、歯を磨かせること以上に、価値のある習慣です。

できなくても大丈夫

毎日じゃなくていい。上手じゃなくていい。
「親が気にかけている」ことが、いちばん大切。
歯みがきミュージアムは、親と子が一緒に学び、続けられるオーラルケアを伝えていきます。