しかし虫歯の治療にかかわらず、ダメなこととは知りながら面倒なことをつい放置してしまうことはありがちです。特に、他にも歯が残っているので、食事に困ることもないし、痛みもないとおっしゃる方は中々治療を受ける気が起こりません。でもそのまま放置すると、いい事はありません。例えば、虫歯を放置すると、虫歯菌が奥深くまで侵攻し、やがて形は歯の形をしていても、もはや歯と呼べないばい菌の塊になってしまいます。その結果、その歯の周りが化膿し当然激しい痛みに襲われたりします。
次に、先ほどの虫歯がばい菌を供給するための基地となり、そこからおびただしい数のばい菌が、お口の中の隅々までエサを求めて飛び立っていきます。そのため、いくら歯を磨いても数時間後にはお口の中が再び虫歯菌だらけとなり、健康な歯が常に虫歯の危険にさらされることになります。すなわち虫歯があちこちに感染してしまいます。そして、根っこだけになってしまった歯は、歯が抜けたのと同様に大きな隙間が出来るので、その隙間に向かって近くの歯の倒れ込みが起こり、歯並びや噛み合わせが狂うので、顎関節症を引き起こしたりします。
最近では虫歯の穴から虫歯菌が顎の骨を突き破り喉へと進み、そのまま肺へと至り、左右の肺を隔てている縦隔という部位を侵してしまう『下降性壊死性縦隔炎』(かこうせい えしせい じゅうかくえん)を引き起こした例も伝えられています。細菌は急速に全身へと回り敗血症と多臓器不全により命をおとすこともあります。
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